土居幹治 専務取締役
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。
「だしの伝道師®」土居でございます。
昭和の食卓、肉はごちそうでした。
昨秋、コロナの間隙を縫って居酒屋でサンマの塩焼きを思いっきり食べました。脂が乗ってておいしかったんですが、会計時にはすっかり高級魚になっていました。
サンマもスルメイカも毎年のように不漁が報道され、水産資源の枯渇が懸念されていますが、実は世界的に見ると天然魚の漁獲量は減っていないのです。
国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2020年の「世界漁業・養殖業白書」によると、世界の漁獲量は右肩上がりで増加しています。具体的には、養殖生産が伸びて天然魚は横ばいという現状。
消費面でも、全世界の一人当たりの魚介類消費量は1961年に9.0kgだったものが2018年には20.5kgと2倍以上になりました。人口増大や健康志向、エシカル消費の伸びなどがシーフード市場の成長を後押ししたのです。
健康面でお手本にされたかもしれない日本の魚食は減少しているのに。
日本の食卓は肉に取って代わられ、国民一人当たりの魚介類消費量は1961年の50.4kgから2018年には45.9kgに減少。
韓国は13.2kgから55kg、中国なんか4.3kgから38.2kgに激増したというのに。
それに呼応するように、日本の漁業と水産業は年々衰退しています。ピークだった1984年の漁業生産量1282万トンが、2018年には442万トン。
この激減には理由があります。それは、漁獲規制をしなかったから。
日本ではほとんどの魚種で漁獲規制を行っていませんが、世界では当たり前。持続可能な最大の漁獲量に基づく数量管理が基本なんです。
資源の再生産能力が落ちてしまうような乱獲状態を避け、安定的に漁獲できる水準に親魚の量を維持しているのが世界標準なんです。
とにかく、しっかり漁獲をコントロールし、食卓に魚食文化を復活させるしかない。クジラを肉だと思って食べ、本当の肉は年に数回のハレの日にしか食卓に上らなかった昭和世代が切に念じます。
さかなクンの力を借りつつ、「ギョロッケ」という魚肉コロッケを広めたりしつつ「すぎょい魚食文化」を再興したいと思うのであります。
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
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