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2023.05.10

コメ一石

「だしの伝道師®」土居でございます。

和食の基本なのに、コメ離れが深刻です。

 

1里と1石

江戸時代の旅を体感すべく、日本橋から1里(4km)の距離を歩こうとしたことがありました。歩いて1時間の距離が1里とされている通り、30分経過時点で半里(2km)。ここでギブアップでした。

そこで、次のネタとしてコメです。江戸時代の石高計算基準によると、大人1人が1年間に食べるコメの量が1石で、1石のコメが収穫できる田んぼの広さが1反(10アール)。
そして、1石=100升=1000合だから、1年間に1000合。つまり、1日に1人で2.7合コメを食べるという計算になります。お茶碗約6杯。これもギブアップです。

 

コメを食べた鶏の卵

本当にコメを食べなくなりました。平均すると1日お茶碗2杯。日本人として情けないけど、1合炊けば十分なのです。日本のコメの収穫量も、私の成長に合わせてこの40年で約4割減ってしまいました。

このようなコメ離れに呼応して、政府は米粉用や飼料用など主食以外のコメづくりに補助金を出してきたのです。1反あたり8万円。ただ、補助金対象のコメの収穫量は全体の0.4%とまだわずか。
飼料用のコメで商品の差別化に成功した養鶏業の事例なんか、おもしろいけどな~。コメを食べた鶏の卵は黄身が白っぽく、味も独特のコクがあるのです。

 

ヒトの燃料

さらに有望なのがコメを原料としたバイオエタノール。生産性はトウモロコシと比べて遜色なく、コメ1石から約67リットルのエタノールが取れるのです。しかし、補助金頼みという採算面の課題と、コメを燃料に仕向けるのはもったいないというイメージの問題は残ったまま。

67リットルのエタノールを国の基準上限である3%配合してできるバイオガソリンは、2233リットルで満タン40回分。
やはりコメ1石は、1年分の糧として人の腹におさめるべきではないかと思った次第なのです。

マルトモ株式会社 マーケティング本部 本部長
土居幹治 専務取締役

愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。

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