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2023.08.30

万葉人のウナギ

「だしの伝道師®」土居でございます。

古代のロマンです。

 

むかしの魚

料理屋で天然物のおいしい魚を食べる度に思うことがあります。それは、「万葉人が食べた魚も今と同じ味だったのかな」ということ。畜肉や野菜、果物は品種改良と飼料、肥料の進歩で日々おいしくなっているから千年の味の違いは歴然。けど、天然魚は海水の富栄養化による餌の変化が多少あったにせよ、味は今と同じではなかったかと思うのです。

とすると、他の農畜産物が野生種に近い味だったわけですから、万葉人にとっての魚介類は、現代人が感じる以上においしい食材だったに違いありません。そこで書物をひもとき、古代人の魚介系食事情を確認してみました。

 

卑弥呼の夕食

卑弥呼の夕食…クロダイとアワビの刺身、サザエの壺焼き、ゆでダコと瓜の酢の物、モクズガニのたたき汁、焼きなす、ハモ飯、まくわうりのデザート。
聖徳太子の夕餉…強飯(蒸したご飯)、熱汁(さといも、わかめ、ねぎ)、煮大豆、アユの塩焼き、ごぼうの煮物、フナの醤煮、だいこんの豆醤漬、蘇、塩。
大伴家持の食膳…ご飯、醤、塩、里芋と青菜の汁、焼きブリ、大根とアワビの煮物、生姜の醤漬、ウリの粕漬、煮豆、酒、栗、胡桃、枝豆、柿、山芋、里芋、鴨肉、鹿肉。

なるほど、貴人はおいしい魚を食べていたのですね。
この頃は、まだ現在のようなかつおだしはなかったと推測されます。素材の味中心です。

 

むなぎ

また、万葉集の編者といわれる大伴家持には、ウナギを詠んだ歌があります。

「石麻呂に吾もの申す夏痩せによしといふものぞむなぎとり召せ」

大伴家持が夏バテした石麻呂にウナギをとって食べるよう勧めた歌で、「むなぎ」はウナギのこと。旬の天然ウナギは脂が乗っていて胸のあたりが黄色いことから、こう呼ばれたそうです。ウナギの語源ですね。

家持さんたち、かなりおいしいウナギを食べていたに違いありません。小生、アナゴ文化圏で育ったせいか、おいしい天然ウナギはいまだに出会ったことがありません。

家持さんに倣って、むなぎで夏を越したいと思うのであります。

マルトモ株式会社 マーケティング本部 本部長
土居幹治 専務取締役

愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。

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