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2024.01.17

三茄子

「だしの伝道師®」土居でございます。

新年を寿ぎ、縁起物のお話です。

 

元祖健康オタク

菜食主義者、無添加信者、ロハスフリークなど、健康のために食にこだわる人たちは年々増加傾向にあり、
一大マーケットを形成しています。
これらの考え方は科学的根拠の有無にかかわらず、食品メーカーとして無視できない存在です。

 

徳川家康 パブリック・ドメイン 出典:Wikipedia

ちなみに、元祖健康オタクは徳川家康だといわれています。
家康は「命は食にあり」という考えから粗食を率先し、生涯麦飯と豆味噌を食べ続けました。
また、季節はずれの食材や冷たいものは食べないというほど食の養生にこだわり、生きることに執着したのです。

 

駿河の名物

ところで、初夢の縁起物「一富士、二鷹、三茄子」は、家康が好む駿河の名物を並べたものだという説があります。
江戸城から駿府に隠居を決めた際、「なぜ駿府に?」という側室の問いに対してこの三つを挙げたというのです。

一の「富士」は、まごうことなき日本一の富士山。
二の「鷹」は家康が終生の趣味とした鷹狩で、農民たちの暮らしぶりを視察しつつ、野を駆けまわることで気分転換を図りながら足腰の鍛錬ができた。

そして三の「茄子」。初物を食べると寿命が75日延びるということわざを実践すべく、
家康は旬の茄子を好んだのです。おそらく、豆味噌をつけて焼いて食べたにちがいありません。

 

命は食にあり

「茄子の日」に制定されている4月17日が、1616年に75歳で他界した家康の命日であることは偶然にしてはすごすぎます。
歴史学者の磯田道史先生によると、信長、秀吉、家康それぞれの人生の主題を一語で要約するなら、
信長は「死」、秀吉は「夢」、そして家康は「生」ということになるのだとか。

 

なるほど「命は食にあり」という言葉に思いを込めた家康は、誰よりも生き延びることにこだわった武将だったのです。
一富士、二鷹、三茄子は「夢」ではなく、「生」の縁起物だったのです。

 

 

マルトモ株式会社 マーケティング本部 本部長
土居幹治 専務取締役

愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。

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