土居幹治 専務取締役
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。
「だしの伝道師®」土居でございます。
3月11日、加工食品メーカーの矜持を考えます。
東日本大震災をきっかけに、食材の東日本依存度の大きさを再認識しました。
三陸沿岸は水産物の宝庫であり、東北・北関東は野菜の一大供給エリア。
これらの地域が被災したり放射能に汚染されたりして、農水産物の供給が滞ってしまったんです。
例えば魚種別に見た2011年当時の被災地域県のシェアは、養殖ワカメ79%、サメ類61%、サンマ41%、サバ類38%、養殖カキ29%、サケ類19%。
そして、農産物の東日本11県のシェアは、ニンニク78%、ゴボウ66%、ネギ57%、レンコン51%、ホウレン草50%、枝豆50%、シュンギク48%。
これらが全て供給できないとしたら、当たり前のように繰り返されてきた日常の食卓がお金を出しても手に入らない状態になるわけで、我々日本人がこれまでどれだけぬるま湯につかっていたかを思い知ることになります。
ある人が「天罰」と形容したこの事態を、作家の曽野綾子さんが総括しています。
「私たち日本人は、戦後の復興と高度経済成長を経て有頂天になっていた。今回の東日本大震災によって、甘やかされた生活がこれからも続くという夢が打ち砕かれた」
「『欲しい』と思えば何でも手に入る社会は、異常社会だ」
「政治家は『安心して暮らせる社会を作る』と言うが、そんなものはありえない。老年世代までが、政治家のそんな言葉を信じていた。政治家も有権者も、自分の頭で考えることをしなくなっている」
加工食品を製造して食卓に海幸山幸を届けることを生業としている我が社は、曽野綾子さんの警鐘をどのように受け止めて物づくりをすればよいのか。
道標となるべき一首が、歌人富小路禎子(とみのこうじよしこ)氏の作品にありました。
「服あふれ靴あふれ籠にパンあふれ足るを知らざる国となり果つ」
食材が手に入ることのありがたさを胸に刻み、今後も物づくりに精進する所存であります。
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
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