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2024.04.10

アメリケン

「だしの伝道師®」土居でございます。

憧れの舶来品でした。

 

メリケン粉

先日、職場の若手社員と話していて「メリケン粉」という単語が通じず、うろたえてしまいました。
「スーパーでメリケン粉買ってきてくれない」
「メリケン粉って何っすか?」
「メリケン粉はメリケン粉だろ。メリケン波止場のメリケンだよ」
「メリケン波止場って何っすか?」
「メリケン波止場っていやぁ、赤い靴の女の子が異人さんに連れて行かれた港だよ」
「異人さんってひいじいさんっすか?」

 

 

 

フラワー

話にならないので、説教ついでに外来語の来歴をレクチャーしました。
「その昔、アメリカンが日本語的に発音されてメリケン。つまり、メリケン粉は米国産の小麦粉のことを指していた。同様の活用形に、ホワイトシャツ→ワイシャツがある。ちなみに、カッターシャツはミズノの商品名で『勝った~』が語源」
当然ながら、けむたがられました。

 

それにしても、メリケン粉が通じないのは時代のせいでしょうか。かつて、どの家庭にも常備されていた日清製粉ウェルナの薄力粉「フラワー」。紙製のパッケージに描かれたオレンジ色のひまわりは、家庭料理の象徴として台所に明るく咲いていました。天ぷら、ドーナツ、ホットケーキ。ごちそうの傍らにはいつも「フラワー」があったんです。

 

花かつお

日清製粉ウェルナが「フラワー」を発売したのは、昭和30年(当時は日清製粉)。量り売りが普通だった小麦粉を個包装した画期的商品は、瞬く間に家庭に浸透していきました。

 

その「フラワー」の開発コンセプトが、「メリケン粉(輸入小麦粉)に負けない小麦粉をつくる」だったのです。
高度経済成長期の息吹が伝わってくる「メリケン粉」という響き。舶来品を目指して精進した意気を忘れないためにも、死語にしてはならないのです。

そうです。つづりは違いますが、「花かつお」もフラワーつながりで考えれば、次世代につなぐべき、和食の魂なのであります。

 

マルトモ株式会社 マーケティング本部 本部長
土居幹治 専務取締役

愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。

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