土居幹治 専務取締役
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。
「だしの伝道師®」土居でございます。
極限環境で頑張るかつお節カビです。
極限環境微生物という研究領域があります。
100℃の高温、1000気圧の高圧、20%の塩分、手が溶けるほどの強アルカリなど、超苛酷な環境下でたくましく生きる微生物に光を当て、その潜在能力を産業に活かそうという学問です。

例えば、火山の火口近くで100℃の土壌中に成育する微生物には耐熱性があり、この微生物から取り出した酵素もまた熱に強い。
通常は60℃前後で力を失ってしまう酵素が100℃で使えるし、室温でも安定性抜群です。
そして、最も有名な極限エピソードに「こえだめ分解酵素」の秘話があります。
今から50年ほど前、ある研究者がアルカリ環境下で繊維を分解する微生物を発見し、その微生物から取り出した繊維分解酵素を「こえだめ」に利用することを考えました。
当時は水洗トイレの普及率が低く、こえだめ内容物の強固な繊維質が回収の妨げとなっていたのです。

アンモニアが充満し、アルカリ状態のこえだめでの活躍を、発見した酵素に託しましたが、技術が完成した頃には水洗トイレが普及して日の目を見ることはありませんでした。
しかし、そこは極限に耐えてきた酵素。長い潜伏期間を経て、1987年に家庭用洗剤に配合され堂々デビューしたのです。
繊維をやわらかくして隙間汚れを落とす酵素パワーのコンパクト洗剤。極限環境を生き抜き、こえだめで辛酸を舐めた果ての晴れ舞台です。
かつお節(枯節)の発酵工程である「カビ付け」に使用するカビも、極限環境微生物です。
水分が20%程度に下がってカチカチになったかつお節(荒節)。さらに、燻製で表面に付着したフェノール性化合物も微生物にとっては難敵です。
この過酷な環境で生育できるのはかつお節カビだけですし、過酷だからこそ、枯節のコク味と上品な香りが醸成されるのです。

アスリートが自身を極限に置く高地トレーニング同様、極限でひらめいたアイディア、極限で飛び込んだ得意先、極限で頭を下げたトラブル処理…、そんな極限の日々に身を置いたからこそ生まれる成果物があるのです。
極限環境で頑張り、和食の基礎となる枯節を生み出すかつお節カビのように。
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。
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