土居幹治 専務取締役
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。
「だしの伝道師®」土居でございます。
元禄時代に生まれた発酵食品のお話です。
財団法人食品産業センターの柳本正勝氏が、JAS協会の機関誌に「酢酸が酸味を代表する不思議さ」というエッセイを寄稿しています(2007年4月号)。
酸味といえばお酢の主成分である酢酸がすぐに思い浮かびますが、元来、酢酸は自然界にはほとんど存在しないもの。古来、日本人が酸味料として利用してきた梅や柑橘類の酸味はクエン酸なのです。また、古い時代のすしは魚を米飯に漬けて乳酸発酵した「なれずし」であり、この酸味は乳酸。

甘味、うま味、塩味などが自然界に豊富に存在する物質に由来しているのに対し、酸味の生い立ちがあまりに不自然だというのが柳本氏の持論です。
人が管理しないとつくれない酢酸が、なぜ酸味の代表格になったのか。なぜクエン酸や乳酸はメジャーになれなかったのか。
筆者は、花屋與兵衛と中野又左右衛門によるマーケティング戦略が奏効した結果だと考えます。
花屋與兵衛は江戸時代の後期(19世紀前半)に握りずしを考案し、世に広めた江戸前ずしの元祖。仕込みに半年前後を要する従来のなれずしに代わり、屋台で手軽に味わえる握りずしをヒットさせました。與兵衛のアイデアが江戸っ子気質にはまったのです。
この握りずしに欠かせないお酢を酒粕からつくり、江戸に供給したのが尾張の中野又左右衛門。大手お酢メーカーの創業者です。もともとは酒を製造していたのですが、酒づくりの禁忌である酢酸発酵に敢えて挑戦し、握りずしに社運をかけました。

花屋與兵衛の先見の明と中野又左右衛門の発酵技術がコラボした、江戸時代の外食革命。酸味=酢酸という現代人の味覚は、この時に形成されたのではないかと筆者は考えます。
そしてここに、同時代に誕生したかつお節(枯節)とみりんが加われば、創成期の和食を支えた発酵食品3兄弟揃い踏みとなるのです。

まさに、食の元禄繚乱なのであります。
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
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かつお節文化の拡散に邁進中。
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