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2023.03.08

灼熱の発酵食品

「だしの伝道師®」土居でございます。

チョコレートも発酵食品なのです。

 

日本人の得意技?

日本の伝統食品は、その多くが発酵食品です。
味噌、醤油、酒、みりん、納豆、鮒寿司、かつお節…。たまたま微生物に侵されてしまった貴重な食材を捨てずになんとか活用したいという日本人の知恵と、それを後押しした温暖湿潤気候。

このような文化人類学的背景の帰結として、稲藁に包んだ煮豆が藁の菌で納豆になり、江戸に下したかつお節にかびが生えて枯節になったのです。

だから、発酵食品は緻密で粘り強くてちょっとだけアバウトな日本人の得意技だと思ってました。
けど、熱帯地方にも世界に広がる発酵食品があったのです。

 

カカオ豆の発酵工程

それは、チョコレート。
厳密にはカカオ豆の発酵が灼熱の赤道直下で行われているのです。恥ずかしながら、チョコレートが発酵食品だとは知りませんでした。しかも熱帯地方での発酵。無知を反省しつつ、発酵過程を紹介します。

まず、ラグビーボール大のカカオの実「カカオポッド」から、カカオ豆とパルプを取り出します。この時使用するナイフや農民の手、発酵設備の木箱とそれを覆うバナナの葉などに発酵菌(酵母、乳酸菌、酢酸菌)が常在していて、パルプの糖分を栄養源として4~7日間程度の発酵が進行します。

 

白いカカオとブラックボックス

発酵の目的は、香り付け、色付け(発酵前のカカオ豆は白い)、渋味と苦味の除去などですが、チョコレートメーカーの研究者をして「デタラメ」と言わしめた熱帯地域のいい加減な発酵で、最終商品が規格内に収まるのは神業です。ちなみに、発酵以降の工程は気温が高すぎるとチョコレートが溶けてしまうため、温帯地方でしか行えません。

そもそも発酵は目に見えない微生物の仕事であり、所詮はブラックボックスで謎に包まれた工程です。しかし、それをコントロールして安全な加工食品に仕上げ、食卓に提供するのがメーカーの仕事。デタラメはまずいですが、ある程度のアバウトを受け入れる鷹揚さがないと、発酵食品は扱えません。

ちょっとビターなチョコレートをかじりながら、はるか熱帯の微生物に思いを馳せた次第であります。

マルトモ株式会社 マーケティング本部 本部長
土居幹治 専務取締役

愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。

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