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2024.01.31

鹿のだし

「だしの伝道師®」土居でございます。

シカトできません。

 

野生動物

クマやサルなどの野生動物が平野部に出没し、住民や農作物に被害を及ぼすというニュースを最近よく耳にします。
近くの幼稚園でも、園児たちが育てているサツマイモ畑をイノシシに荒らされました。「大きくなあれ」と目を輝かせながら水やりをしていた園児たちを思うとやるせない、と園長先生。

 

また、森林学が専門の大学教授が、林業におけるシカ被害の対策委員長を命ぜられたとぼやいていました。「シカのことなど全くわからないから、林学の立場からアドバイスするしかない」と語る教授ですが、
ちょっと風貌がムツゴロウ先生に似ているから任命されたのかも。

 

鹿の味

野生動物による農作物の被害額は年間156億円。意外なことにトップはシカの65億円。次いでイノシシ、サル、クマ。
戦後、シカは絶滅寸前状態で保護政策がとられていたから、戦後の農業はシカがいないという前提で防除対策など皆無なんです。
なのに、ニホンジカの頭数は218万頭で、67万頭という年間捕獲数でなんとか増加を防いでいる現状。

ここで重要な点は捕獲したシカを「おいしく食べること」です。欧米では高級食材のシカ肉ですが、日本では不人気。
脂肪分が0.3%と極めて低く(和牛は25.8%)、4.6mgもある鉄分がレバーのような風味を出してしまう(和牛の鉄分は2.0mg)。

 

鹿節

まあ、逆に考えれば低脂肪高鉄分のヘルシー食材なのですから「天然鹿カレー」の販売に挑戦した某カレーチェーン店を見習おうではありませんか。
欧州では、鹿肉を煮ていぶし、かつお節のような「鹿節」を作って、だし素材とする料理人がいると聞きました。
「だしの伝道師®」としては無視できない存在です。

 

花札の10月札で鹿がそっぽを向いて無視していることから「シカ10」→「シカト」という言葉が生まれたわけですが、
我々もシカトしないで鹿肉の利用法を考えねばならないのであります。

マルトモ株式会社 マーケティング本部 本部長
土居幹治 専務取締役

愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。

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