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2024.05.22

赤の力

「だしの伝道師®」土居でございます。

赤いトラクターもカッコよかった。

 

赤い野菜

先日、85歳になる伯父から「どんな野菜を食べれば体にいいのかひとことで言ってくれ」と無茶な質問を受け、とりあえず「色の濃い野菜」と答えておきました。トマト、にんじん、かぼちゃ、ピーマン、唐辛子…。さらに絞れば、「赤い野菜」でもよかったかな。そもそも植物としての「赤」は、捕食者に種子を拡散してもらうためのシグナルであり、「おいしくて栄養満点ですよ」というメッセージなのです。

赤の力はすごいと思います。中国では幸運の色として花嫁衣装の定番となっていますし、もちろん血の色は赤で信号機も目立つから止まれが赤。闘牛士が牛を徴発させるのが赤い布なら、童話で村人に溶け込もうとしたのも赤鬼でした。

 

赤いウェア

赤の力を調査した研究がいくつかあります。フランス南ブルターニュ大学の研究グループは、女性研究者に赤、ピンク、茶色、無色の口紅をつけてバーに1人で座らせ、おとりナンパ実験を敢行したのです。結果、赤の口紅をつけた場合に最も早く男性が声を掛けてきました。なんともフランスらしい実験ですが、これは赤の力というより、派手か地味かという違いではないでしょうか。

 

 

英国ダラム大学の研究グループは、2004年のアテネ五輪における格闘技で、ウェアの色と勝敗の関係を調査しました。競技はボクシング、テコンドー、レスリングのグレコローマンスタイルとフリースタイルの4種目。結果、4種目すべてで赤を着用していた選手の方が青の選手より勝ち数が多かったんです。この傾向は、実力伯仲の試合において顕著でした。理由は、審判が赤の選手を好んだ、赤の選手が自信を持った、赤色で相手が怯んだなどが考えられますが、同研究チームは国際サッカートーナメントでも同様の結果を見出しており、スポーツウェアは赤がいいという仮説が成り立ちそうな気配です。

 

赤いパッケージ

ただし、紅白戦が定番の日本では赤が強いとは言い切れません。源平合戦でも白旗の源氏が勝利したし、大晦日の紅白歌合戦も通算すれば白組40勝、紅組34勝。さらに、日の丸は赤の面積が約19%。日本は白の力も強いんです。

我らが花かつおの商品パッケージはほとんどが赤です。それは、中身の花かつおがきれいに見えるから。赤の効果で花かつおの薄いピンク色が鮮やかになるんです。ただ、最近は青や黒や金のパッケージでヒットした事例もあり、赤一色の売場に変化の兆しが見えはじめています。

 

マルトモ株式会社 マーケティング本部 本部長
土居幹治 専務取締役

愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。

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