土居幹治 専務取締役
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。
「だしの伝道師®」土居でございます。
だしの伝道師は、だしソムリエ講座1級の講師を担当します。
今年は6月15日と11月2日の2回、開講します。
以前、とあるフランス料理店でお客様と会食した際、在籍するソムリエに接待を助けてもらったことがあります。その客人は自宅にワインセラーを持つワイン通。生半可じゃない蘊蓄に気絶寸前だった私を、ソムリエが救ってくれました。
会話を盛り上げながら「3本で5万円」という予算内でヴィンテージをセレクトし、客人の舌を納得させてくれたんです。客人の言われるままのワインだと10万円を超えていたそうです。それまでの「ソムリエなんて趣味の延長線上にある道楽的職業で、さほど世の中の役に立っていない」という偏見を猛省し、浅学を恥じました。
この事件がきっかけで交流が始まった件のソムリエから、気象予報士取得に向けて勉強中との連絡がありました。気候変動でブドウの成分が変化し、ワインの味に影響が出ていることが動機だとか。気温が上昇するとブドウの糖分が増し、発酵で生成するアルコール濃度が高まる。アルコール分が高いワインは苦く感じられ「ホット」という評価になる。一方、シャープで爽やかな味をもたらす酸味は熟すにつれて減少するため、温暖化はワインの爽やかさを低下させてしまうそうです。
「気候変われば風味も変わる。名ワインは育てるものにして造るものにあらず」なのだとか。
となると、温暖化で海水温が上昇するとカツオの魚質にも変化が生じ、だしの出方も変わってくるに違いありません。この点、だしソムリエ1級講座で論じたいと思います。
事実、世界各地のブドウ畑で品種の見直しが始まっています。赤ワイン用のピノ・ノワールを育てるカリフォルニア州カーネロスの畑では、シラーや白ワイン用のソーヴィニヨン・ブランを試験栽培しています。もちろん、木の列の向きや葉の配置を変えて日陰を増やす工夫も抜かりありません。
カーネロスやブルゴーニュといった地域の「大気候」、各地のブドウ園という「中気候」、葉という日よけの下にあるブドウの房の「微気候」。ソムリエが気象予報士を取得する意義は十分にあります。
とするとテレビ局のお天気お姉さんがソムリエを取得し、朝から天気予報にワインの蘊蓄を絡める日が来るのかもしれないな、と思った次第です。
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。
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