土居幹治 専務取締役
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。
「だしの伝道師®」土居でございます。
江戸時代の養生訓です。
NHK大河ドラマ「べらぼう」のちょっと後の時代、1802年に「御誂染長寿小紋(おんあつらえぞめちょうじゅこもん)」という名作が刊行された。山東京伝が書いて喜多川歌麿が挿絵をそえた、黄表紙と呼ばれるカテゴリーである。
喜多川歌麿 パブリックドメイン 出典:Wikipedia
内容は、命を大切にするための心構えを駄洒落と戯画でまとめた養生訓。平均寿命が40歳前後と推測される江戸時代、長寿の秘訣に関する洒落本が民衆に受け入れられたことは想像に難くない。
この中で、酒で命を削ることを、かつお節を削る行為になぞらえていたのが興味深い。
「酒といふ奴は人の命を削る小刀なり。故に酒を飲むことをけづるといふ。鰹節の痩せるも削る故なり。楊子の細くなるも削る故なり。松板の薄くなるも削る故なり。鰹節も楊子も松板も掛替あり。人の命には掛替なし。削つただけは埋まる事なし。」
『御誂染長壽小紋』(国文学研究資料館所蔵)を改変
出典: 国書データベース,https://doi.org/10.20730/200013878
削って細ってもかつお節なら買い替えればいいが、命の替わりはないと警告している。酒で身を持ち崩すべらぼうな奴は、いつの時代にもいるんだな。
加齢とともに肌つやが消え、頭髪は涼しく、声もしわがれてくる。つまり、全身枯れてくる。しかし、枯れることで熟年の渋さが生まれ、いぶし銀の光を放つ。無駄を廃し、エネルギーを温存する「枯れ状態」は、生物学的にも正しい長寿への選択なのだ。
ただし、腐ってはいけない。いじけてもいけない。あきらめるなど言語道断。発酵の力で半年かけて枯れたかつお節の断面が飴色に光るように、逆境をプラスに変える前向きな者のみ、人生の輝きを享受できるのだ。半年間熟成された枯節のだしが黄金色に輝くことを、山東京伝に教えてあげたいと思うのである。
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
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