土居幹治 専務取締役
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。
「だしの伝道師®」土居でございます。
哀しくも温かい、昭和の食卓です。
シャインマスカットを食べるたびに昭和のぶどうと比べてしまいます。
種なしどころか皮まで食べられるようになった甘い令和のぶどう、贅沢になったなぁと。
昭和の巨峰は今より少し小粒で酸っぱく、汁の色も毒々しいばかりに濃かったような気がします。
「とびやすき葡萄の汁で汚すなかれ虐げられし少年の詩を」 寺山修司
幼時、巨峰を食べた記憶といえば病気の時ばかりです。それは、粉薬を飲むため。
母が巨峰の種を取り除き、そこに苦くて飲みにくい粉薬を入れて私に飲ませたのです。
白い粉を巨峰に詰め込む母の後ろ姿と、それをツルンと飲み込む食感は今でも鮮明に思い出すことができます。
「若き日の母が葡萄の種取りて種のくぼみに粉薬置く」 だしの伝道師®
ちなみに、種なしぶどうは日本発祥。
稲がバカみたいに伸びて枯れる「馬鹿苗病」の原因物質として1938年に発見された「ジベレリン」に、ぶどうの種を消す働きが見つかったのです。
植物の成長促進ホルモンであるジベレリンで種が消えるという逆転の発想。
そんな日本人の知恵に感謝しつつも、「思い出を詰め込む場所がなくなっちまったぜ」と、ツルリ一粒飲み込んでみました。
昭和の切ない食卓を思い出して、胸がつっかえそうになりました。
愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
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かつお節文化の拡散に邁進中。
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