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2024.09.11

「デパート3か条」に学ぶデパ地下のヒミツ

「だしの伝道師®」土居でございます。

デパ地下、大好きです。

 

デパート納品

今から30余年前の小僧時代、週に3回くらい看板車でスーパーやデパートに商品を届ける仕事を担当していました。スーパーの多くは郊外に店舗があるから駐車場や納品場所が広くて作業は楽でしたが、面倒なのはデパート。繁華街の路地裏に看板車を乗り入れ、狭い納品口から台車泣かせの裏階段で地下にもぐり込む。

 

老舗店ほど裏スペースは暗くて狭いんです。文化財的建造物だから仕方がないのかもしれませんが、華やかな売り場とは真逆の暗部を体感できたのはいい経験でした。納品後に利用した社員食堂で見た社員の生態も、かなり勉強になりましたが…。

 

デパート3ヶ条

そんなデパートの実態をもう一度学びたくなり、先日、デパ地下一筋30年という大手デパートカリスマ役員の講演を拝聴しました。まずはデパート3ヶ条。デパートは、「楽しくなければならない」「文化業態でなければならない」「学びの場でなければならない」。

そっか、デパ地下は楽しく文化的な勉強ができる公器なんだな。利き酒勉強会とか、世界の食文化セミナーとか。ならば健康情報発信も満載かと思いきや、低カロリーとかダイエット等をアピールすると、他人の目を気にして誰も集まらないのだとか。消費者心理は複雑です。

 

デパート実演販売

そして、スーパーとの最大の違いは、和菓子と洋菓子で全体の50%を占めるという点。デパ地下惣菜や高級弁当にも華はありますが、和菓子、洋菓子の強みは自家消費に加えてギフト需要があるということ。この、和菓子と洋菓子でしっかり稼いで、ほとんど利益の出ない文化業態や学びの場に投資するのだそうです。

全体の売り場イメージでいうと、儲ける売り場60%、楽しい売り場30%、情報発信の売り場10%という比率。もちろん、都心の店舗と地方店では状況が異なるし、ターミナル駅と直結しているかどうかも重要な環境因子となります。かつての納品トラウマを拭うように耳を傾けた講演でしたが、売り場づくりのイメージが腑に落ちました。

 

儲かって楽しく情報発信できる「かつお節削り実演販売」、出前いたします。

マルトモ株式会社 マーケティング本部 本部長
土居幹治 専務取締役

愛媛大学農学部農芸化学科を卒業後、マルトモ株式会社に入社して
研究開発に従事。九州大学への論文提出で農学博士号取得。
「だしの伝道師Ⓡ」という二つ名で小学校や公民館での出前授業を実施し、
かつお節文化の拡散に邁進中。

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